PS2用ソフト『プロ野球チームをつくろう!3』、以下やきゅつく3は今から19年前の2005年、球界再編により、プロ野球界が大きく揺れ動いた激動の年に発売されたスポーツ育成SLG。
旧作から大きくモデルチェンジした本作は、これまでのエンディング及びプレイ継続条件であった『何年以内に日本一』という年数縛りがないため、プレイヤーはいつ、何時からでも自分だけの理想のプロ野球チームを作ることができる。
据え置き型ゲーム機としてはシリーズ最後の作品であり、細かいバグ、強制的な仕様等、惜しいところも多々あるものの、OB選手の登場数、自由度の高さはシリーズの中でも群を抜いており、発売から19年経った現在でも、根強いファンに支持されている。
はじめに
今更ながらプレイ日記をつけるとなれば、それなりのネタを用意しなければならない。かといって、経験上、途中で嫌気がさしてしまうような肩肘を張った企画は打ちたくない。
この手のシミュレーションゲームで最も楽しめるプレイは、何も分からないまま手探り状態でスタートし、行き当たりばったりで進めていく一回目のプレイだ。私自身もやはりファーストチームの思い入れは強く、サカつくを含めた全てのつくろうシリーズの“教科書通りではない”ファーストチームのデータは未だ残してある。
発売して19年、ありとあらゆる縛りプレイにチャレンジしてきたが、ボロボロの古文書と化してしまった緑本(公式コンプリートガイド)と長時間睨めっこすることなく、もう一度初回プレイのような真っ新な気持ちでスタートできる縛りはないかと考えた。
縛りルール考察
S、Aランク選手の獲得制限
まず基本ルールとして、高ランク選手の在籍人数を制限したい。やきゅつく3は即戦力過ぎる新人、能力が似通った架空Sランク、Aランクで溢れており、普通にプレイした場合、非現実的な最強チームが簡単に出来てしまう。ゲームの最終目標が世界一、プレイ年数に制限がない等を考えると其れ相応の数かもしれないが、時代を超えて登場する実在レジェンド選手ならまだしも、COM球団も指名しないような架空の高ランク選手は、もっと少なくて良かったように思う。
では、高ランク選手は1チーム何人までなら、現実的なチームとして倦厭することなくプレイできるか。そこで、チーム別に初期所属メンバーのSAランク選手を数えたところ、最も多かったのがSA共にジャイアンツで、Sランク2人、Aランク13人だった。また、投手・野手別に調べてみてもジャイアンツがトップで、内訳は投手がS1人・A5人、野手がS1人・A8人。この数字を「現実的な範囲」の上限とし、その他ルールを組み合わせたいと思う。ちなみにこの戦力で戦った2005年のジャイアンツは、球団史上ワーストとなる80敗を記録し、5位に沈んでいる。
新人獲得は有力新人メモ、全国大会、入団テストのみ
今回の縛りの重点は大きく2つ。まず、プレイヤーの意思で選手を獲得できないようにすること。いくらランク制限を設けているとはいえ、スカウト探索がフリーでは、結局狙ったところの選りすぐりチームになってしまう。それを防ぐため、有力新人メモ、全国大会、入団テストの3つだけに限定して新人を獲得する。この3つは初見プレイ、あるいは緑本がない場合、必ず手蔓になるものなので、今回のコンセプトには打ってつけだ。
有力選手をピンポイントで発見できるため、一見簡単そうにも見える縛りだが、上記3つの手段で発掘した選手は知名度が高くなり、そこそこの選手でも高確率で他球団に指名されやすくなる。リストアップの絶対数が少ない中で、より綿密なドラフト戦略が必要になってくる。
尤も、有力新人を多く発掘したところで、今回のプレイが一筋縄ではいかない最大の理由は次項のルールにある。
所属選手、スタッフ全員生え抜き終身雇用
2つ目は、初期選手選択の段階からスタッフにも適用した、完全生え抜き終身雇用縛りだ。一度獲得した選手は引退するまで入れ替えることはできないため、場当たり的な人材獲得は御法度。決断を間違うと、毎年大物が出現しても指をくわえて見るしかなくなる。
終身雇用縛りは、これまで何度も挑戦しては挫折しており、今度こそはという思いから、球団スタッフを含めた“完全体”に挑む。
ルールの狙いとしては、現実的でないトレード等、ゲーム的な人事により、強くなりすぎるチームを防止すること。また、スタッフ固定により、チームカラー、スキル伝授にプレイヤーの意向を反映できなくすることで、初見では知り得ないテクニック、セオリーに拘泥せず、無為自然な形でチームを作ることにある。
この縛りによる最大の難局は、スタッフ勇退時にタイミング良く現役選手とスイッチしなければならないこと。引退を引き留め続けるのも限界があり、衰えていても現役続行を希望する選手もいる。後任がいなければ即終了。スタッフ交代はプレイ存続を賭けた一発勝負となる。
縛りルールまとめ
先に述べた大元のルールに、これまでに自分が運用してきた縛りを組み合わせた上記全13項目が今回の縛りルール。冒頭で触れた通り、全てが緑本を必要としない縛りであり、項目にこそ入れてはいないが、緑本禁止縛りにもチャレンジできる内容となっている。
特筆すべき縛りとしては、この中で唯一初の試みとなる、11.のチーム勝率11位以下禁止縛り。ヒントを得たのは、SS用ソフト『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!』。シリーズ史上最高難易度と言われる初代サカつくだが、その最たる所以は、1stステージと2ndステージのいずれかでブービー、最下位になると即クラブ解散という血も涙もないゲームオーバー条件。
今回のプレイでは優勝ノルマは設定しない分、順位やファンを無視した無気力シーズンがあってはならないということで、当時多くのプレイヤーを失意のどん底に落とした初代サカつくルールをそのまま採用する。
ゲームクリア条件
・世界一達成
・ゲームオーバー条件に引っかからず、20年目(2024年)到達
ゲームオーバー条件
・縛りルールを守れなかった場合
・リセットせざるを得なくなった場合
※不慮によるリセットも含む
*1:やきゅつく3は無双する投手が1人~2人いれば、先発の枚数が少ない方が勝ちやすく、ここをどうするかだけで難易度は大きく変わってくる。現実では2018年の菅野智之(巨人)を最後に200イニング到達者は出ておらず、250イニング以上となると1985年の佐藤義則(阪急)まで遡る。COM球団は一貫して6人で回すので、同じ条件下で戦う意味でも加えておきたいルール。
*2:やきゅつく3では、1日を1フェイズと呼ぶ。1週間は6フェイズ。
*3:3連投禁止。所謂WBCルール。先発制限同様、無双投手を毎試合リリーフで登板させるといった行為を防ぐ。これにより数字や起用法とも限りなく現実の野球に近づける。ただし、登板の確認には毎試合観戦が必要になるため、今回の縛りの中では最も面倒なルール。6フェイズ内にて実行。